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出雲大社の御神体は◯◯

島根県出雲市に鎮座する出雲大社は、古代から続く由緒ある神社として知られ、その御神体(ごしんたい)は多くの人々の信仰を集めてきました

出雲大社は「国譲り神話」や「縁結びの神」として広く知られ、「大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)」を主祭神としています

大国主大神は、日本神話において国造りや人々の幸福を司る神として崇められてきました

出雲の地で国造りを行い、人々に豊かな生活をもたらしたとされています

また、「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」との国譲り神話において、出雲の地を譲る代わりに立派な宮殿(出雲大社)を建てることを条件としました

その御神体の具体的な形や姿は明かされておらず、神聖なものとして秘匿されています

この秘匿性は、神道における「神の姿を直接見ることは畏れ多い」という伝統的な考えに基づいるかもしれませんね

出雲大社の御神体に関して、特に興味深い伝説が「アワビ」との関係です

アワビは、古来より神事や祭祀において重要な役割を果たしてきた海の幸であり、出雲大社においても神饌(しんせん)として奉納されることが多くあります

神と人をつなぐ特別な存在として崇められ、その光沢や形が神霊を映し出すものと考えられてきました

また、アワビはその形が「鏡」に似ていることから、神の御霊(みたま)を映し出すものとしても考えられています

神々の世界と人間の世界をつなぐ特別な存在としても崇められ、出雲大社の祭祀において重要な役割を果たしているのです

江戸時代に記された書物『雲陽秘事記(うんようひじき)』には、出雲大社の御神体にまつわる驚くべき逸話が残されています

1638年、松平直政(まつだいらなおまさ)が松江藩主となった後、出雲大社への関心を深め、何度も参拝したとされています

ある時、松平直政は御神体を見たいという強い好奇心に駆られ、国造が必死に制止するのを振り切って本殿に上がり込みました

厳かな空気が張り詰める本殿の奥に進むと、そこで彼が目にしたのは巨大なアワビの殻だったといいます

そのアワビの殻には九つの穴が開いていたとされ、その光沢はまるで神霊を映し出す鏡のように神秘的に輝いていました

しかし、次の瞬間、そのアワビの穴の一つから八尋(やひろ)の大蛇が現れ、松平直政に迫ったというのです

大蛇の恐ろしい姿に恐怖を覚えた直政は慌てて本殿を飛び出し、その後、病に伏したと伝えられています

なお、松平直政はこの出来事を機に、出雲大社の信仰をさらに重んじるようになったと伝わっています

神域の整備や社殿の再建に尽力し、現在の本殿の基礎となる大規模な修築を行いました

直政は大社の霊威を再確認し、地域の信仰を支えるために藩の力を尽くしたといいます

この社殿の修築は出雲大社の歴史において重要な転機となり、神聖な場としての威厳をさらに高めることになりました

『雲陽秘事記』に記された松平直政の逸話は、神域を守る神秘的な力の存在を現代に示唆し、出雲の地に息づく神聖な空気を今に伝えているのです

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